ユーリはこの都で名高い仕立て屋だった。
彼女が作る服は、持ち主を輝かせ、周りの人々にも幸せをもたらすと評判だったが、その一方で、気難しい性格でも知られていた。 彼女のストイックな性格は、自分にも他人にも厳しく、今日もアトリエに籠っては、生地や糸を慈しんでいる。
一方、都はお祭り騒ぎだった。王子がついに結婚するという。相手は平民の女性で、新聞には恋愛結婚と報じられていた。 町の少女たちは、身分差のあるロマンスに胸を躍らせ、王子の心優しさと、平民の女性の気さくさが、多くの人々に愛されていると語り合っていた。 都中のすべての国民が、二人の結婚を祝う準備に余念がなかった。
しかし、ユーリはこのお祝いムードにうんざりしていた。 どこへ行っても二人の話題ばかりで、彼女はますます自分のアトリエに籠るようになっていった。